はじめに
こんにちは、今回は、楽しみながらPythonの基本概念「クラス」を学びましょう。私自身なかなか理解できなかったので、今回はキャバクラのホステスたちの成長物語にたとえて、解説します。一回読むと理解できるので、初心者の方は、プログラミングのクラスが身近に感じられること間違いなしです!
本編では、キャバ嬢という言い方ではなく、ホステスという表現に変更しています。ホステスの名前は、よくある源氏名の検索ランキング上位のものを使用しました。特に深い意味はありません。
第1章: 新たなスタート
キャバクラ「TechClub」に、明るくて元気なあやかが新人ホステスとして入店しました。彼女はおしゃべりが得意で、お客様を楽しませるのが大好き。しかし、ホステス業務の基礎をまだ学び始めたばかりです。リーダーのさやかさんから、まずはホステスとはなにかを教えてもらいます。
あやか、初めてのお仕事頑張ってるみたいね。でも、ホステス業界は奥が深いわよ。
さやかさん!そうなんです、でも、お客様が楽しんでくれる瞬間が本当に嬉しいです。
第2章: クラスの力を知る
新人あやかは、ホステスたちのリーダーである、さやかから「クラス」という特別な考え方を教えてもらいました。
クラスって自分自身をまとめる魔法のようなものよ。例えば、あなたの場合、名前や年齢、得意なスキルをクラスに詰め込む感じ。
なるほど、それなら自分のことを整理しやすそうですね。
あやかはノートに書きながら、自分の特性をクラスで表現してみました。
class Hostess:
def __init__(self, name, age, skill):
self.name = name #名前
self.age = age #年齢
self.skill = skill #得意なスキル
新人あやかのクラス「Hostess」には、3つの特性(属性)があります。nameは名前、ageは年齢、そしてskillは彼女の得意なことを表します。
第3章: メソッドで行動を追加
新人あやかは、自分の特性をクラスで表現する方法を学んだ後、次はホステスの行動をクラスに追加しました。これが、NO1ホステスになるための(クラスの入門の)第一歩です!
あやか、次は先輩から学んだことをクラスの中に追加するのよ。そうすることで、自分の行動として、いつでも接客中に呼びだせるようになるわ。
分かりました、さやかさん!いつでも実行できることで、お客様に楽しいひとときを提供できるかもしれません!
新人あやかは、先輩から学んだ行動(メソッド)を、クラスに追加していきました。
class Hostess:
def __init__(self, name, age, skill):
self.name = name
self.age = age
self.skill = skill
def introduce(self):
print(f"私の名前は{self.name}、年齢は{self.age}歳、特技は{self.skill}です。")
def serve_customer(self):
print(f"{self.name}がお客様にサービスします!")
def serve_drinks(self):
print("お飲み物は何になさいますか?")
def make_jokes(self):
print("冗談を言って笑いを提供します!")
def recommend_specials(self):
print("本日のおすすめメニューはこちらです!")
def engage_in_conversation(self):
print("お客様の話に興味を持ちながらおしゃべりします!")
新人あやかは、新しいスキルとして
「introduce」(自己紹介をする)
「serve_customer」(ご挨拶をする)
「serve_drinks」(飲み物を聞く)
「make_jokes」(冗談を言う)
「recommend_specials」(おすすめメニューを勧める)
「engage_in_conversation」(お客様との会話を楽しむ)
を追加しました。
第4章: あやかの成長
あやかは、自分の特性(Hostessクラス)と行動(メソッド)をクラスで表現し、ホステスとしてのスキルを次第に高めていきました。彼女はクラスの力を使うことで、お客様に喜ばれ、笑顔を提供し続け、徐々に指名が増えていきました。
あやか、クラスとメソッドを使ったことで、成長を感じるわね。あなたの笑顔がお客様に届いているのよ。
本当に嬉しいです、さやかさん!クラスのおかげで、自分の成長が実感できます。
ここで、あやかの成長をコードで見てみましょう。
# 新人あやかのインスタンスを作成
ayaka = Hostess("あやか", 24, "会話とおすすめメニューの提案")
# あやかがお客様を笑わせる
ayaka.make_jokes()
# あやかがおすすめメニューを勧める
ayaka.recommend_specials()
# あやかがお客様と楽しい会話をする
ayaka.engage_in_conversation()
Hostessクラスから、「ayaka」
というインスタンスを作成し、あやかの名前、年齢、スキルを設定しています。その後、「ayaka」
インスタンスに対して、「make_jokes()」
メソッドや 「recommend_specials()」
メソッド、「engage_in_conversation()」
メソッドを呼び出しています。
このように、クラスからインスタンスを作成し、そのインスタンスに対してクラスで定義したメソッドを呼び出して、実行することで、あやかの行動が実行され、ホステスとしてのスキルが具体的に表現されています。
メソッドとインスタンスの解説
# クラスの定義
class Hostess:
# インスタンスの初期化(コンストラクタ)
def __init__(self, name, age, skill):
self.name = name
self.age = age
self.skill = skill
# メソッド: お客様への挨拶
def introduce(self):
print(f"私の名前は{self.name}、年齢は{self.age}歳、特技は{self.skill}です。")
# メソッド: 飲み物の提供
def serve_drinks(self):
print("お飲み物は何になさいますか?")
# メソッド: 冗談を言って笑いを提供
def make_jokes(self):
print("冗談を言って笑いを提供します!")
# メソッド: おすすめメニューの勧め
def recommend_specials(self):
print("本日のおすすめメニューはこちらです!")
# インスタンスの作成
# インスタンスを作成することで、ホステスの具体的なオブジェクトが生成されます。
ayaka = Hostess("あやか", 24, "会話とおすすめメニューの提案")
# インスタンスの利用
# インスタンスに対してメソッドを呼び出すことで、ホステスが実際に行動します。
ayaka.introduce() #お客様に挨拶をする
ayaka.serve_drinks() #お客様にドリンクを聞く
ayaka.make_jokes() # インスタンスのメソッドを呼び出して冗談を言う
ayaka.recommend_specials() # インスタンスのメソッドを呼び出しておすすめメニューを勧める
第5章: 後輩の登場
あやかがホステスとして成長し、クラスの力を理解したことで、次のステップへと進む時がきました。そこへ、後輩のまりことさくらが新人として入店しました。
あやか、次は後輩たちを育てる番よ。これから、まりことさくらへの指導をよろしくね!
さやかさん、もちろんです!後輩にもクラスの魔法を引き継いでいきます!
はじめまして、まりこです。あやかさん、先輩として教えてください!
さくらもよろしくお願いします!クラスのことも教えてください!
第6章: 後輩への教育(クラス継承)
あやかは順調に成長し、ついに後輩のまりことさくらが店に入りました。彼女たちはあやかを先輩として慕い、同じくホステスとしての道を歩むことを決意します。しかし、まりことさくらはまた異なった特性や能力を持っています。
あやかはまず、後輩たちのために新たなクラスを作成しました。あやかのクラスを継承して、まりことさくらのクラスを定義します。
# ジュニアホステス クラスを作成
class JuniorHostess(Hostess):
def __init__(self, name, age, skill, mentor):
super().__init__(name, age, skill)
self.mentor = mentor
def learn_from_mentor(self):
print(f"{self.mentor.name}先輩から学びます!")
ここでJuniorHostess
クラスはHostess
クラスを継承しており、新しい特性としてmentor
(指導する先輩)を持っています。また、新しいメソッドlearn_from_mentor
で先輩から学ぶ行動を追加しています。
メソッドは、クラス内に定義された関数のことよ、「挨拶する」や「飲み物を提供する」といった、私が新人の頃に設定した行動もメソッドよ。class JuniorHostess(Hostess)とすることで、Hostessクラスに入っていた行動を新人ホステスでも呼び出すことができるようになるわ。
第7章: まりことさくらのインスタンスの作成
次に、あやかが、まりことさくらのインスタンスを作成します。あやかが新人2名に、クラスとインスタンスの違いについて説明しました。
クラスはあなたたちの特性や行動の設計図のようなものよ。一方、インスタンスはその設計図をもとに作られた実際のホステスたち、つまりあなたたち自身なの。
なるほど、だから、私たちは同じクラスから作られていても、それぞれ違う人間なんですね!
正解!さあ、まりことさくらのインスタンスを作りましょう!
# 後輩のインスタンスを作成
mariko = JuniorHostess("まりこ", 22, "歌唱", ayaka)
sakura = JuniorHostess("さくら", 20, "ダンス", ayaka)
まりことさくらのインスタンスが作れたわ、実際にメソッド(仕事)を実行してもらいましょう!
共通の特性を再利用する
# クラスの定義(あやかが定義したクラス)
class Hostess:
def __init__(self, name, age, skill):
self.name = name
self.age = age
self.skill = skill
def introduce(self):
print(f"私の名前は{self.name}、年齢は{self.age}歳、特技は{self.skill}です。")
def serve_customer(self):
print(f"{self.name}がお客様にサービスします!")
def serve_drinks(self):
print("お飲み物は何になさいますか?")
def make_jokes(self):
print("冗談を言って笑いを提供します!")
def recommend_specials(self):
print("本日のおすすめメニューはこちらです!")
def engage_in_conversation(self):
print("お客様の話に興味を持ちながらおしゃべりします!")
# 後輩のクラスを定義(あやかのクラスを継承)
class JuniorHostess(Hostess):
def __init__(self, name, age, skill, mentor):
super().__init__(name, age, skill)
self.mentor = mentor
def learn_from_mentor(self):
print(f"{self.mentor.name}先輩から学びます!")
# インスタンスの作成(あやかと後輩たちのインスタンスを作成)
ayaka = Hostess("あやか", 24, "会話とおすすめメニューの提案")
mariko = JuniorHostess("まりこ", 22, "歌唱", ayaka)
sakura = JuniorHostess("さくら", 20, "ダンス", ayaka)
# インスタンスの利用(メソッドの実行)
ayaka.serve_drinks() # あやかがお飲み物の提供をする
mariko.introduce() # まりこがお客様への挨拶をする
sakura.learn_from_mentor() # さくらがあやか先輩から学ぶ
先輩あやかのクラスには、ホステスとして共通する特性(名前、年齢、スキル)や行動(ご挨拶、飲み物を聞く)などが定義されています。後輩もこれらの共通の特性を持っているため、継承を使うと、先輩のクラスで定義した共通の特性や行動を再利用することができます。
あやか先輩のおかげで、私の接客がお客様に喜ばれました!あやか先輩ありがとうございます!
拡張性
各後輩は独自の特性やスキルを持っています。継承を使用すると、基本クラスを拡張して新しい特性や行動を追加することができ、コードの整理と再利用が容易になります。
後輩ホステスが成長すると先輩ホステスになるシナリオを考えましょう。新しいクラス SeniorHostess
を定義しました。このクラスは Hostess
クラスを継承しており、先輩ホステスの独自の行動を追加しています。
# クラスの定義(あやかが定義したクラス)
class Hostess:
# ...(省略)...
# 先輩ホステスのクラスを定義(Hostessクラスを継承)
class SeniorHostess(Hostess):
def __init__(self, name, age, skill):
super().__init__(name, age, skill)
# 新しい行動を追加(後輩たちへのガイド)
def guide_juniors(self, juniors):
for junior in juniors:
print(f"{self.name}先輩が{junior.name}後輩にガイドします!")
# 新しい行動を追加(アフターの断り方)
def reject_after(self):
print("ありがとうございます!でも、今日は大丈夫です。")
# 新しい行動を追加(同伴の誘い方)
def invite_companionship(self):
print("一緒に楽しい時間を過ごしませんか?")
# インスタンスの作成(先輩ホステスと後輩たちのインスタンスを作成)
ayaka = SeniorHostess("あやか", 25, "ピアノ")
mariko = JuniorHostess("まりこ", 22, "歌唱", ayaka)
sakura = JuniorHostess("さくら", 20, "ダンス", ayaka)
# インスタンスの利用(新しい行動を実行)
ayaka.guide_juniors([mariko, sakura]) #後輩たちへのガイド
ayaka.reject_after() #アフターの断り方
ayaka.invite_companionship() #同伴の誘い方
このようにして、SeniorHostess
クラスに新しい行動であるアフターの断り方と同伴の誘い方を追加し、インスタンスを作成してそれらの行動を実行することができます。新しい行動を追加する際には、クラスを継承してメソッドを追加するだけで、既存のコードを大きく変更することなく拡張することができます。
保守性
共通のロジックを一箇所にまとめることで、将来的な変更や拡張が簡単になります。例えば、ホステスの共通の行動が変更された場合、基本クラスを変更するだけで、すべての派生クラスも更新されます。
ホステスの共通の特性や行動が変更される場合、Hostess
クラスだけを変更すれば、その変更がすべての派生クラスに自動的に反映されます。
例えば、全員の自己紹介に「趣味」を追加する場合、Hostess
クラスだけを修正します。
class Hostess:
def __init__(self, name, age, skill, hobby):
self.name = name
self.age = age
self.skill = skill
self.hobby = hobby #趣味を追加
def introduce(self):
print(f"私の名前は{self.name}、年齢は{self.age}歳、特技は{self.skill}、趣味は{self.hobby}です。")
このように、クラスの継承はコードの拡張性と保守性を高める効果的な手段で、共通のロジックを一箇所に集中させることができます。
おわりに
クラスの継承を使用することで、先輩のあやかが築いたホステスの共通の特性と行動を、後輩のまりことさくらにも適用し、同時に新しい特性と行動を追加することができます。継承は、コードの再利用、拡張性、保守性を高める効果的な手段です。
キャバクラのホステスの成長物語を通じて、Pythonのクラスとオブジェクト指向の概念が身近に感じられることを願っています。